高齢者の健康自立寿命延伸のための社会的活動性維持向上プログラムの研究開発と試行

科学研究費補助金・挑戦的研究(開拓):2018年度〜2020年度

プロジェクト概要

高齢者のフレイル(虚弱化)を予防し健康自立寿命を延伸するためには,社会的活動性を維持・向上することが効果的であるといわれる。本研究は,分野横断的アプローチにより,フレイルと社会的活動資源や社会的活動性との関係を明らかにするとともに,フレイルの予防や健康自立寿命の延伸に資する社会的活動促進プログラム群を共創的に開発し,さらに,それら地域活動プログラムの普及のための社会的展開戦略を策定しようとするものである。

研究の全体イメージ

研究のフィールド

千葉県柏市,福井県坂井市,秋田県秋田市など。

研究計画

①分野横断的研究体による既存事例のレビュー等を通じた概念共有と理論的枠組みの構築

②フレイル進行と社会的活動性低下の機序の解明

③社会的活動性を向上する地域活動プログラムの研究開発

④社会活動性向上のための地域活動プログラムの社会的展開戦略の策定

主な研究内容

①高齢者大規模コホート研究(千葉県柏市)を実施し,フレイルの進行と社会的活動性低下の機序にかかる多変量解析。年齢によって低下する身体機能(ロコモ25)・認知機能(MMSE)に対して,年齢とは関係ない社会的関係(LSNS-6)など,フレイル機序モデル(仮説)を構築する。

②なぜ高齢者が閉じこもるのか,社会的リスクのある高齢者を調査(岩手県釜石市)。身体機能・認知機能の低下にともない,既存の「社会的コード」に対応できなくなり,そのため新しい取り組み自体が,生きることの不安を増大させる論点を特定する。

③社会的活動を促進するためには,既存の「社会的コード」を更新,修正,再構築をして適応しやすくするプログラムが重要となる。このための「地域活動館」方式(千葉県柏市)と「居住環境点検」方式(福井県坂井市,秋田県秋田市など)の2つの方式を開発した。新型コロナウィルスの影響下であるが,三密を防ぎつつ持続的にフレイルを防ぐ活動を展開する。

④また身体機能・認知機能が低下しても,理解・維持・適応しやすい「社会的コード」と活動プログラムの関係についても分析(例:楽しむ習字など)し,戦略を策定する。